咲(saku) 愛(mana) Day's

日々の生活の中に、”愛おしい”と思えることを見つけてゆきたい

「冷静と情熱のあいだ ~ Rosso ~」

何となく気になって、ずっとどこか惹かれていて、そして手に取って読んでみたら、すっかり虜になった。
そのような小説はありますか?

冷静と情熱のあいだ」、1999年に出版された恋愛小説です。作者は辻仁成さんと江國香織さん。
まず、江國香織さんが「あおい」という女性の目線でストーリーを書き、辻仁成さんが「阿形順正」という男性の目線で続きのストーリーを書いています。
単行本化された時には、江國さんのパートは「Rosso(ロッソ)」、辻さんのパートは「Blu(ブリュ)」とネーミングされました。

この小説が刊行され、後に竹野内豊さん主演で映画化された時、「冷静」と「情熱」の「あいだ」って何だろう??と不思議に思ったことを記憶しています。
小説を読むことも、映画を観ることもありませんでしたが、何となく気になって、いつか小説を読んでみたいなと思っていました。
なかなか機会がなくて、何年もそのままになっていましたが、意外なきっかけで本を手に取ることになりました。

「東京タワー」、江國さんが書かれた恋愛小説で、2005年に岡田准一さん、黒木瞳さん、松本潤さん、寺島しのぶさん主演で映画化されました。
この映画が公開された当時、自身の生活にも大きな変化があり、一人でよく映画を観に行っては、感慨にふけっていました。
「東京タワー」のストーリーは知らなかったのですが、映像が素敵な感じがして、仕事帰りに一人で映画館に寄って観ました。

正直、ストーリーの内容自体には共感できる部分があまりありませんでいたが、却ってその分、映像の美しさに集中して観ることができました。
岡田准一さんが窓ガラスを掃除すると、窓に東京タワーが映って、その後にコーヒーを淹れ、クラシック音楽を聴きながら小説を読むシーン。
特にラストの、パリの橋の上のシーン。カメラがゆっくりと後ろに引いて、パリの景色がスクリーンいっぱいに映し出されるシーン。

映画を観た後、江國さんの小説を読みたくなって、「東京タワー」と「冷静と情熱のあいだ」を本屋さんに買いに行きました。
「東京タワー」の方は、情景描写や心象風景の描き方が美しいなと思ったものの、そんなに惹かれることはありませんでした。
しかし、「冷静と情熱のあいだ」の、特に江國さんの「Rosso(ロッソ)」には、読んだ後にすっかり虜になってしまいました。

「装身具(アンティーク・ジュエリー)は、愛された女性の人生の象徴」
アマレットというお酒は、クリスタルグラスで飲んだ方がずっとおいしい」

紡がれている言葉が、まるで詩を読んでいるかのようで、そのまま頭の中にインプットされて、離れなくなりました。
本当に一つ一つ、絵画を見ているようで・・、世界観に魅了されるってこういうことなのでしょうか。
もしかしたら「あおい」という女性の心情に、深く共感できる部分があったのかもしれません。

小説の中で、一番、深く感銘を受けたのは、この言葉でした。

「人の居場所なんてね、誰かの胸の中にしかないのよ」

この続きは、また明日の記事に続きます。

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「わたしの30歳の誕生日に、フィレンツェのドゥオーモのクーポラで会ってね」
小説のキーとなる言葉です。
私はフィレンツェには行ったことがないのですが、ミラノのドゥオーモには登ったことがあります。

実は、写真には若かりし頃の姿が写っていましたが、気恥ずかしいので消去しました。
写真をよく見ると不自然な所がありますが・・、心霊写真ではないので安心して下さい(^^;)