咲(saku) 愛(mana) Day's

日々の生活の中に、”愛おしい”と思えることを見つけてゆきたい

さくぽんの相続体験記 ~預金篇~

【前回までのあらすじ】

「キンクマハムスターの女の子、さくぽんのお父さんが亡くなり、葬儀を終えた後に相続手続きを行うことになりました。
初めてのことに戸惑いながらも、相続人と相続財産の確定、各種保険の手続きや車の名義変更及び売却など、何とか順調に進めていました。
しかし、さくぽんは相続人が一人にも関わらず、なぜか争族に直面しており、その問題解決がまだ残っていたのでした。」

さくぽんはずっと気になっていました。

お父さんの葬儀の時に親戚から言われた言葉、「お父さんの遺産にはおばあちゃんのお金も含まれているから、返して下さい。」

その時は「今は即答できない」と話し、後に弁護士さんからの助言「証拠を提示してほしい」を連絡していました。

しかし、待てど暮らせどその後の連絡はなく、またおばあちゃんからもその件については何も言われませんでした。

ただの戯言だったのか・・と思いつつ、でも何かの事情があったのであれば、見過ごす訳にもいきません。

さくぽんは、お父さんから預かった預金通帳をざっと眺めてみました。

几帳面な性格だったお父さんらしく、通帳は過去から亡くなる時のものまで、何冊もありました。

一通り見てみても、特に気になる点は見つかりませんでしたが、どこかに何かのヒントがあるはずです。

さくぽんは、対応策をあれこれと考えた末、「うんっ、それしかない!」と決心し、パソコンを立ち上げました。

通帳に記載されている入出金の記録、その全てをデータ化することにしたのです。

データ化して、分析してみれば、お父さんが遺したお金の状況が掴めるだろう。さくぽんはそう考えました。

まず、一番古い通帳を開いて、お金の入りと出を一件一件、ただひたすらに入力してゆきます。

それはとても気が遠くなるような作業でしたが、入力している内に、さくぽんの心に不思議な感情が湧いてきました。

離れて暮らしていたお父さんの、日常の生活を共に振り返っているようで、懐かしくなってきたのです。

〇月〇日 電気代〇〇円、△月△日 水道代△△円・・、そこには大好きなお父さんが、確かに生きていた記録が残されていました。

毎月毎月、決まった日に決まって入ってくる収入、決まって支払っている費用、または初めて見る記録。

この年のこの時期には、お父さんにこんなことがあったんだ・・、とお父さんの人生を一緒に歩んでいるような感覚。

最初はとてつもなくしんどい作業だと思っていたのに、途中からは夢中になって取り組んでいました。

そしてとうとう、お父さんが亡くなる直前の記録まで辿り着き、長い、長い作業は終了。

それから収入と支出に分けて分類し、全ての数字を合計した結果、ある一つの答えが浮かび上がってきました。

それは、お父さんが遺してくれたお金は、紛れもなくお父さん個人が築き上げてきた財産だということです!

お父さんの手紙にあった言葉、「さくぽんのこれからの人生のために、お金を残した。」

その言葉は、本物でした。さくぽんは自らの努力によって、そのことを証明したのです⤴

これでもう、迷いは無くなりました。さくぽんは堂々と、お父さんの財産を引き継ぐことにしたのです。

かくして、さくぽんの相続体験記は、フィナーレに向かうことになるのでした。つづく。

~~~ 解説 ~~~

預金の引き継ぎについては、誰がどのように相続するかが決まっていれば、通常は銀行で所定の手続きを行うだけだと思います。

しかし、私の場合はその内容に疑義があるとの指摘を受けていたので、引き継ぐ前に独自で調査してみることにしました。

銀行に依頼すると「預金入出金取引証明」を発行してくれますが、こちらは年月を遡るとかなり費用がかかります。

それよりも自分で分析して、内容を把握しておいた方が後々、自信を持って説明できるかなと思い、少々大変でしたが、取引記録を全てデータ化しました。

そして、父個人の収入(給与、年金など)の合計から、支出(税金、公共料金など)の合計を差し引いた結果、相続金額とほぼ同一であるという結果を得ました。

自分でも、普通ここまでやるかな・・と呆れ気味ではありましたが、一つ一つの記録の裏には生活の跡があり、父の軌跡を辿れたようで感慨深くもありました。

次回、とうとう最終回です。よろしければ、最後までお付き合いいただけましたら幸いです(*^^*)


さくらの寝落ち ~ 究極の癒しを💕 ~